「不動産投資はやめとけ」という言葉を聞いたことはありませんか?
たしかに不動産投資はリスクが高く、不安に思っている人も多いでしょう。
しかし不動産投資は、将来の資産を形成する手段としてはとても有効な手段となり得ます。
不動産投資のリスクについて考えてみましょう。
「不動産投資はやめとけ」と言われる理由
インターネットで不動産投資関連のワードを検索すると「不動産転売で簡単に数百万円儲かる方法」「不動産収入だけで生活できる方法」などという広告記事を目にすることがあると思います。
たしかに不動産は投資する金額が他の投資商品に比べて大きいので、うまくいけば大きな転売益を得るチャンスはありますし、大型物件を運営することで不労所得を得るということも有り得ない話ではありません。
しかしながら、不動産投資で大儲けするのは決して低いハードルではないのです。
その理由は以下の通りです。
高度な目利きやスキルが必要
不動産の転売益を狙った投資や不労所得で生活するための賃貸運用は、不可能ではないですが高度なスキルが必要だということを念頭においておくべきです。
不動産投資に慣れている人でも100%成功するとは限らない不動産投資は、初心者ならなおさら高いハードルだと言えます。
転売目的で購入した不動産がなかなか売却できず、購入価格よりも安い金額で売却せざるを得ないということは珍しくありません。
また賃貸運用についても、利回りが高い物件であるほど修繕や空室のリスクが比例して高くなります。
そのようなリスクの高い中で、生活できるほどの収益を生み出すためには数億円の投資額が必要になります。
初心者がいきなり「転売」「不労所得」というワードを狙うのは現実的ではないのです。
失敗したときのリスクが大きい
先ほど説明したように「転売」「不労所得」を狙おうとしたときのリスクは非常に高いです。
そもそも基本的に建物は築年数とともに資産価値が落ちていく傾向があります。
転売益を狙うには当然ですが買った金額よりも高く売らなければなりませんが、建物自体の値段が上がるときは、市場で特段の事情が発生しているときです。(近隣で再開発計画がある、観光地として特需が発生している、建築単価があがっている、など)
将来の動向を正確に読み解いて転売で儲けるというのは至難の業です。
もしも読みが外れると数百万円~数千万円の損失を背負わなければなりません。
初期投資にかかる費用が大きい
多額の初期投資が必要になるということもリスクのひとつです。
仮に5億円で表面利回り5%のアパートを購入したとき、月々の収入は約200万円になります。
また、5億円を全額融資から調達した場合、金利2.0%・35年の条件なら毎月の返済は165万円となり、毎月の粗利益は35万円ということになります。
「35万円の不労所得があれば働かなくても暮らしていける」と安易に考えてしまいがちなのが不動産投資の落とし穴です。
実際は、アパートを常に満室維持できる保障はありませんし、建物が古くなれば家賃減額やリフォームを考えなければなりません。
不労所得を得るために大きな初期投資をしても、当初の利回りが本当に維持できるとは限らないのです。
初心者が「大儲け」を狙うならやめとけ。でも資産形成が目的ならベストな手段
転売や不労所得といったような大儲けを狙うなら、「不動産投資はやめとけ」と言われる理由も理解できます。
しかし、不動産投資をおすすめしたいパターンもあります。
それは「将来の資産形成」の手段として投資を考えているケースです。
今すぐ大儲けしようとするとリスクが高いですが、適切にリスクヘッジをしながら数十年後の資産をつくる手段として考えたとき、不動産投資はローリスクで堅実な方法だと言うことができます。
資産形成に不動産投資がおすすめする4つの理由
資産形成の手段として不動産投資をおすすめしたい理由を4つのポイントに絞って紹介します。
①景気変動に強い
金融資産は景気変動に影響されやすく、好景気時は大きく高騰することもありますが景気が悪くなると価値が大暴落するリスクがあります。最悪、ゼロ価値になってしまうことも考えられます。
不動産のような実物資産は景気変動の波の影響を受けにくい特徴があります。
全く影響を受けないわけではありませんが、その値動きは金融資産ほどではありません。
不動産投資は安定志向の投資家に向いていると言えます。
②手間がかからない
株などの金融資産は常に値動きしているため、頻繁にチャートを見ておく必要があります。取引のタイミングを見誤ると大きな損失が出てしまうこともあります。
不動産は金融資産のようにリアルタイムに値段が変動することはありません。
投資初期段階でキャッシュフローの計画をきちんと立ててスタートすれば運用中にはほとんど手間がかかりません。
一刻のタイミングで大きな損失が出てしまうというリスクは金融資産よりもはるかに小さいと言えます。
③利回りが高い
株式投資の平均配当利回り(予想)は、取引所ごとで次のような水準となっています。
・日経平均:2.33%
・JPX日経400:2.09%
・日経300:2.21%
・東証1部全銘柄:2.30%
(国内の株式指標 上記データは2022年6月現在)
平均するとおおむね2%前後というのが株の利回りです。
一方で不動産投資家調査(第45回 2021年10月)によると、住宅系の不動産投資の期待利回りは平均4.0%~5.8%となっています。
株の配当金は会社の利益から生じているため会社が儲からなければ配当も小さくなりますが、不動産投資は建物需要がある限り安定した利回りを得ることができます。
④銀行融資から資金調達できる
株などの金融資産に対する投資資金は基本的に金融機関から借り入れることができません。
しかし不動産投資なら資金を金融機関から借入れることができるというメリットもあります。
しかも昨今は超低金利時代といわれており、融資制度を利用するにはベストな時代です。
少ない自己資金で大きな資産を動かすことができるというのも不動産投資の魅力です。
まとめ
「老後生活資金2,000万円問題」が明るみになって早数年が経ちました。
しかし現在も、将来の資産形成の戦略を立てられていないという人がほとんどだと思います。
仮に30歳から定年までの40数年間で2,000万円を貯めるためには、毎月5~6万円を貯蓄にまわさなければなりません。
一般的な所得のサラリーマンにとっては給与から毎月5~6万円が天引きされるというのは現実的ではないと思います。
金融資産による財テクを始める人もいますが、景気変動が激しい昨今の経済の中で、堅実に資産を増やしていくというのは至難の業です。
「老後資産を形成する」という目的を達成するためにもっともお勧めしたいのが不動産投資なのです。