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不動産売買契約書にはどんなことが書かれている?契約時に確認するべき7つの項目

不動産売買契約書では、当事者双方で公平な取引ができるよう、あらゆることを想定した取り決めが定められています。

ただ、内容が専門的なため初心者には見方が難しいかもしれません。

売買契約書はトラブルを防止するために重要な書類ですので、最低限確認すべき点を押さえておくようにしましょう。

目次

①物件情報に間違いはないか

売買契約書の内容で真っ先に確認するべき点は、物件情報に誤りはないかということです。

売買契約書には物件の地番や所在地をはじめ、面積、地目、建物の構造、築年数、所有者、権利形態など基本的な情報が細かく記載されています。

記載内容に誤りがあったからといって直ちに売買契約が無効になるということはありませんが、あとあと売買契約書の訂正や差し替えなど煩雑な手続きが増えてしまいますので、しっかりと確認するようにしましょう。

②支払い条件

売買契約の中では支払条件も重要なポイントです。

まず確認する箇所として手付金の額です。売買代金に対して高すぎる金額、もしくは安すぎる金額になっていないかということをチェックしましょう。

売買価格にもよりますが一般的な相場としては代金の5~10%前後です。

相場から大きく外れていると当事者のどちらかのリスクが高くなってしまいますので気を付けましょう。

③ローン特約の条件内容

ローン特約(融資利用の特約)とは、買主が金融機関から融資の承認を得られなかったときに売買契約自体を白紙撤回するという特約です。

不動産取引の慣習上、ほとんどの売買契約でこの特約が付帯されています。

ローン特約には2つの種類があり、内容によって適用方法が異なりますので注意しましょう。

解除条件型のローン特約

解除条件型のローン特約は、融資非承認のとき(または期限内に融資が得られなかったとき)は自動的に売買契約が解除になるというものです。

契約書の条項では、「ローンの承認が得られないときは、本契約は自動的に白紙撤回されるものとする」というように書かれています。

解除条件型の注意点としては、ローン承認の見込みがあるのに銀行手続きに時間がかかってしまい、意に反して自動的に契約が解除されてしまうおそれがあるということです。

融資承認に時間がかかっているときは、ローン特約の期限延長などの合意をする方法があります。

解除権留保型のローン特約

解除条件留保型のローン特約は、ローンの承認が得られないときは買主が解除するかどうかを決められるというものです。

契約書には「ローンの承認が得られないときは、買主は本契約を解除することができる」というように書かれています。

銀行の審査が落ちたときは、買主側から解除権行使の意思表示をしなければなりません。

注意点としては、意思表示を忘れてしまい解除権の期限が過ぎてしまうと、解除ができなくなってしまうということです。

ローン特約が使えないとなると一方的に解除することができなくなり、債務不履行による違約金の問題になってしまいますので気を付けましょう。

④実測売買・公簿売買

土地の売買においては、その面積を実測とするか、もしくは公簿ものとするかを契約書の中で決めておく必要があります。

登記簿に書かれている面積は本当の面積とは限りません。

万が一、公簿と実測に誤差があった場合どうなるかということが契約書に記載されています。

「実測売買」のとき

実測売買は、登記簿に書かれている面積ではなく「実際に測量した面積を売買面積としましょう」という契約形態です。

売買契約を締結する時点で実測面積がわからなければ、一旦登記簿面積を記載した売買契約書を作成します。

その後、引渡までの間に測量を行い、誤差があることがわかったときは「実測面積確認書」などで正しい面積への更正を合意します。

実測売買の形で売買契約書を作成するときは、あわせて「実測清算の有無」をあらかじめ決めておきます。

「実測清算あり」としていた場合は、誤差に応じて売買代金を増減します。

「公簿売買」のとき

公募売買は、実際の面積に関わらず登記簿に書かれている面積を売買面積としましょう、とする契約形態です。

この形態で契約したときは、引渡後に面積の誤差が発覚したとしても原則としてお互い代金の増減を請求することはできません。

ただし、誤差が大きすぎると買主から売主に責任追及される可能性があります。

トラブル防止の観点から、長らく測量を行っていない土地の売買に関しては実測売買を選択することをおすすめします。

<h2>⑤契約不適合責任の内容</h2>

契約不適合責任とは、「売買の目的物が契約の内容に適していないときの売主の責任」のことをいいます。

これだけだと分かりにくいと思いますが、簡単にいうと土地・建物に欠陥があったときの売主の責任の範疇を事前に決めておきましょうということです。

たとえば過去、建物で雨漏りが発生したことがある、シロアリの被害がある、というとき、引渡後でも一定期間売主は責任を負わなければなりません。

契約不適合責任は、責任期間(引渡から〇年)や、免除項目(〇〇の部分については責任免除)を定めることができるようになっていますので、その内容をお互いが納得のいくようしっかり確認するようにしましょう。

ホームインスペクション

契約不適合責任は、得てして「目に見えない部分」で問題が発生しがちです。

ホームインスペクション(建物状況調査)の専門家に調査を依頼することで事前に欠陥の内容を把握することができますし、その内容を売買契約に組み込むことができます。

中古建物の売買のときは、費用はかかりますがホームインスペクションを行うことをおすすめします。

⑥登記簿名義人と契約者が同一人物か

通常、売買契約の売主と登記名義人(所有者)は同一人物であることが一般的ですが、稀に異なるケースがあります。

たとえば相続で土地を取得してまだ登記を行っていないケースが考えられますが、このような場合は遺産分割協議の進行状況などを積極的に確認する必要があります。

また、「他人物売買」といって他人名義の土地を売却するというケースも法律上は有効な契約ですが、登記名義人との関係性や、土地の取得状況について確認する必要があります。

⑦心理的瑕疵の有無の確認

心理的瑕疵(事故や事件の経歴)の告知について、以前はどこまで説明するべきかの明確な基準がなかったので比較的広く告知が行われていましたが、2021年にガイドラインが制定されて告知義務のライン引きがされることとなりました。

ガイドラインによれば、「事故や自然死は告知義務なし」「マンションの隣接住戸や共用部分での事故は告知義務なし」などとルールが決められています。

ただし同時に、ガイドライン上は告知義務がなくても買主の購入意思判断に影響がある項目については積極的に告知するべきという考えも示しています。

なので物件購入時に過去の経歴が気になる方は心理的瑕疵の有無について積極的に質問してみるといいでしょう。

まとめ

不動産売買契約書には売主・買主がお互い公平に取引ができるよう、あらゆることを想定して条項が定められています。

内容が専門的なため初心者には見方が難しいかもしれませんが、最低限確認すべき点は押さえておくようにしましょう。

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この記事を書いた人

新卒で野村證券に入社。15年ほど富裕層営業を担当する。在職中に、不動産投資で数億円の資産形成を行い退職。現在は株式、仮想通貨、エンジェル投資、不動産運用で生活。保有資格:宅建士、証券アナリスト。

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