不動産を売却するなら少しでも高く売りたいというのが売り手の心理です。
どこの不動産仲介業者に査定を依頼するかによって価格に差が生じますし、交渉のスキルも会社によってまちまちです。
好条件で取引をするためには仲介業者の選定が肝要です。
また、売主自身が取引開始から売却までの流れを熟知しておくことも大切なポイントとなります。
本記事では不動産売却の流れや仲介業者の選び方について紹介しておりますので、売却の予定がある方はぜひ参考にしてください。
不動産売却の流れ
不動産の売却を仲介業者に依頼するとき、一般的には下記の流れになります。
- 価格査定
- 媒介契約
- 売り出し(広告掲出)
- 買付・交渉
- 売買契約締結
①価格査定
仲介業者に売却の相談をしたら、まずは価格の査定から始まります。
近隣の取引事例をベースに、直近の価格推移や需要度・物件の状態を鑑みて、「この金額なら売れる」という客観的な水準を仲介業者が提案します。
ここで気を付けたいのが、「不動産の価格には定価がない」ということです。
仲介業者によって保有している取引情報や評価基準、また抱えている顧客数などが異なるため、相談した業者によって価格の目線に差が生じることがあります。
②媒介契約
媒介契約は、正式に売買の仲介を依頼するための契約です。
通常は媒介契約を結んだ時点では費用は発生せず、契約が決まった時点で手数料が請求されることになります。
なお、媒介契約には3つの種類があります。
■一般媒介契約
複数の仲介業者と契約を結ぶことができる媒介契約です。(契約期間の定めなし)
■専任媒介契約
特定の仲介業者と専任媒介を結ぶと、他の仲介業者と媒介契約を結ぶことができなくなります。ただし、自分で買主を探すことはできます。(契約期間3ヶ月以内)
■専属専任媒介契約
特定の仲介業者と専任媒介を結ぶと、他の仲介業者と媒介契約を結ぶことができなくなり、自分で買主を探すこともできません。(契約期間3ヶ月以内)
成約したときに支払う報酬(仲介手数料)
不動産仲介手数料は、原則として成功報酬です。
買い手がついて売買契約の締結が完了したとき、「売買価格×3%+6万円(税別)」の金額を支払うこととなります。
たとえば3,000万円のマンションの売却が決まれば、3,000万円×3%+6万円=96万円の報酬額となります。
ちなみに手数料は売主・買主の両方が同額を支払うのが一般的で、仲介業者が元付と客付けに分かれている場合はそれぞれの依頼者がかかっている業者に96万円を支払うことになります。
③売り出し(広告掲出)
媒介契約を締結したら、実際に物件の販売がスタートします。
インターネットやチラシなどの媒体を通して広告を掲出したり、もともとコンタクト履歴のある見込み客にピンポイントで物件を紹介したりと、幅広い層から買主を募ります。
④買付・交渉
買主が物件の購入希望の意思を表明する際、「買付証明書(申込書)」を売主に提出します。
買付証明書には購入価格や契約条件などが記載されていますが、あくまで購入者の希望条件を記した書類ですので、必ずしも売主が提示した内容と合致しているとは限りません。
売主は受けとった買付の内容を見て、売主としての希望条件をあらためて返答することができます。
買付を通して売主と希望者の双方の希望条件が合致すれば売買契約に進みます。
⑤売買契約
お互いの希望条件が合致したら、仲介業者を通して売買契約締結の手続きを行います。
売買契約は、宅地建物取引士からの重要事項説明からはじまり、売買契約書の条件の読み合わせや、手付金などの授受が行われます。
不動産を少しでも高く売却したいなら
上記の売買までの一連の流れを踏まえた上で、不動産を少しでも高く売る方法について考えてみましょう。
まず査定を依頼する段階で「仲介業者によって価格の見方が違う」という点について説明しましたが、少しでも高く売却したいなら複数の業者から査定額を提案してもらうのがベストです。
できるだけ多くの仲介業者の考えを聞くことで実態に近い金額を知ることができます。
ただし、仲介の査定額が高ければ高いほどいいというわけではありません。
仲介業者の中には、優先的に媒介契約をとるためにわざと相場よりも高い査定額を提示するというような業者もいます。
相場よりも高い査定額で売り出してしまうと、買い手がなかなかつかないどころか、長らく売れ残っている印象を市場に与えてしまい、結果的に足元を見られて値下げせざるを得ない状況になってしまうおそれがあります。
そういった意味でも複数の仲介業者に査定を出してもらい、「常識的な価格水準」を知り、相場の範囲内でなるべく高く売却するという考え方が重要になります。
媒介契約の内容も重要
媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があるということについて説明しました。
これは業界の裏話ですが、仲介業者は一般媒介よりも専任・専属専任媒介の方が積極的に売却活動に力を入れてくれる傾向があります。
なぜなら専任・専属専任なら他の仲介業者に仕事が流れるおそれがなく、成約すれば確実に仲介手数料報酬が得られるからです。
一方で一般媒介の場合は、売却活動を頑張っても他の仲介業者で制約が決まったら無報酬になる可能性が否定できないのです。
仲介業者の裏事情を鑑みて、その状況をうまく活用するという意味で基本的には専任媒介・専属専任媒介がおすすめです。
専任媒介・専属専任媒介なら、多少難しいお願いでも相談しやすくなるメリットがあります。
ただし「需要が高く売れやすい物件」や、「時間をかけてでもなるべく高く売りたい」というケースでは、一般媒介契約も検討の余地があります。
不動産一括査定とは
不動産を少しでも高く売却したいならなるべくたくさんの仲介業者から情報を収集することが大切だということについて説明しましたが、何軒もの仲介業者をはしごして査定の相談をするというのは時間も労力もかかって大変です。
複数の仲介業者にまとめて査定相談をする便利なツールとして「一括査定ツール」というものがあります。
一括査定ツールを使えば、一回の操作で物件所在地を事業エリアとする複数の業者に査定依頼を出すことができますし、査定結果の確認や質疑応答などがオンラインで行うことができます。
簡単な操作で有益な情報を得ることができ、また物件を高く売却することに繋がりますので、これから売買を予定している人は検討してみてはいかがでしょうか。