不動産を購入するにあたって、ほとんどの人がローンを利用しています。
不動産投資を成功させるカギの一つにローンとの付き合い方があると言っても過言ではありません。
しかし不動産投資のローンは、住宅ローンよりも審査のハードルが高いといえます。
不動産投資のローンを利用する際にはどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。
本記事では不動産投資ローンを利用するための初歩的な情報を発信します。
不動産投資ローンの選択は重要
金利がわずかでも異なると返済額も大きく変わります。
たとえば4,000万円を金利3.0%(借入期間35年)で借り入れた場合、毎月の返済額は約15.4万円になります。
金利を0.5%さげて2.5%(借入期間35年)で借り入れた場合は約14.3万円、2.0%の場合は約13.3%となります。
比較してみるとたったコンマ数パーセントの違いで月々の返済額の差が数万円と大きく変わることがわかると思います。
もちろん返済額によって実質利回りも大きく変わりますので、投資ローンを選ぶときは金利条件をしっかり吟味するようにしましょう。
昨今は投資ローンが厳しくなっている?
数年前に比べて昨今は不動産投資ローンの審査が厳しくなっていると言われています。
その理由3つを解説します。
理由①:不動産投資の融資不正利用発覚
ニュースなどで耳にしたことがある人もいるかもしれませんが、数年前に住宅ローンなどを不正に利用し、不動産投資物件を購入するという事例が明るみになりました。
不動産会社から不動産投資家に向けて積極的に不正利用を教唆していた事例もあるそうです。
このような事例が2019年ごろに社会問題化し、事態を重く見た金融庁が金融機関の融資状況を厳しく監査するようになりました。
それまでは多少の不正利用を黙認している金融機関もあったようですが、現在は厳しい目で審査されるようになっています。
理由②:過剰な不動産投資市場の過熱
2015~2019年ごろにかけて、相続対策等で不動産投資物件を購入する市場が大きくなった背景があります。
さらにローンの低金利が続いていたことも不動産投資市場に拍車をかけ、一時バブルのように不動産の価格が上がり続ける市場が続いていました。
投資物件が増えすぎると空室問題が生じたり、過剰な建物建築が進んだりすることが危惧され、金融庁を中心に融資の引き締め政策が進められることとなりました。
理由③:不良債権の増加
不動産投資物件が過剰に供給され続け、実際に不動産投資ローンの不良債権が増加している地方も出てきました。
現在不動産の需要は「二極化」(資産価値が高まる地域、下がる地域の格差がひろがること)が徐々に進んでいると言われています。
エリアによってはまだまだ需要がありますが、一部の地域で不良債権が増えつつあることから、物件の将来性がよりシビアに審査されるようになったのです。
銀行から不動産投資ローンを借りやすくするためには?
ここ数年で不動産投資ローンの審査が厳しくなった背景について説明しました。
このような中で、不動産投資ローンを借りやすくする方法はあるのでしょうか。
これから融資を利用するにあたって留意しておきたいポイントについて考えてみましょう。
ポイント①:利用者の属性
不動産投資ローンを利用するにあたってまず審査されるのは利用者の属性です。
利用者本人の職業、勤続年数や収入、不動産投資の実績、また過去の融資延滞歴などをみられ、本人の信頼度がチェックされます。
融資を受けやすくするためには、転職や開業したばかりのタイミングは避け、収入が多い年度を意識することも大切です。
ポイント②:自己資金比率
金融機関が融資の審査をする際、本人の自己資金の比率もチェックします。
ちょっと前までは自己資金がゼロでも不動産投資ローンが組めたケースもありましたが、近年では一定の自己資金があることを条件としている金融機関がほとんどです。
具体的には物件購入価格の1~2割前後の自己資金があることが理想的です。
4,000万円の投資マンションなら400~800万円の自己資金ということになります。
ポイント③:物件の担保価値
購入予定の物件の資産価値も金融機関の評価に大きく影響します。
収益性が高く、また投資案件として将来性のある物件であれば金融機関としては融資が出しやすくなります。
不動産投資ローンを利用するなら物件選定も大切ですので、客観的に見て資産価値のある物件かを判断するようにしましょう。
ポイント④:共同担保・連帯保証人
購入する物件以外で不動産を所有しているなら共同担保として提供することで金融機関の評価があがります。
また、連帯保証人をつけるというのも有効な手段の一つです。
金融機関としては万が一返済が難しくなったときのリスクヘッジがとれているほど融資が出しやすくなります。
各金融機関の不動産投資ローンの特徴
不動産投資ローンは、申し込む金融機関によって内容がことなることがあります。
それぞれの金融機関と金利動向について紹介します。
メガバンク
みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行が代表するようなメガバンクは、金利1.0%前後と他の銀行と比較しても低金利という特徴があります。
ただし、メガバンクは本人属性の審査が他の銀行よりも厳しいと言われています。
公務員や大企業に勤務している方にはメガバンクが向いていると言えます。
地方銀行
地方銀行は、メガバンクと比べると金利は高い傾向があります。安い場合だと2%前後、高いところだと4%前後というケースもあります。
地方銀行は、その地方に居住している人には積極的に融資をする傾向があります。
メガバンクよりも幅広い層に対応しているため相談しやすいというのがメリットです。
信用金庫等
信用金庫等は、営利団体である銀行とは異なる地域密着型の金融機関です。
金利については地方銀行と大差はないですが、自営業の方でも融資できるケースもあり、メガバンクや地方銀行よりも幅広い層が利用できるメリットがあります。
公的融資(日本政策金融公庫)
日本政策金融公庫のような公的融資制度の金利は1%台の金利を推移しています。
融資の審査においては銀行とは若干考え方が異なり、物件に対してではなく本人の事業に対しての融資ということが前提にあります。
そのため事業計画内容やこれまでの実績が重点的にチェックされます。
はじめての不動産投資のケースではやや不向きと言えます。
まとめ
不動産投資を行う上で、金融機関のローンとの付き合い方はとても重要です。
成功するためにも、昨今の金融情勢の動きや金利の推移などを詳しく把握しておくようにしなければなりません。
自分に合った金融機関やローン商品を上手に選定するようにしましょう。