マイホームを買ったときの税金がいくらくらいかかるのか気になるという人は多いのではないでしょうか。
不動産取得税の税額は通知書を見るまで正確な金額がわからないので、書類が手元に届くまでは不安に思いますよね。
実は物件の評価額がわかれば自分でざっくり計算することができます。
そしてマイホームの購入時に関しては減税制度が設けられていますので、想像していたよりも税額が安かったという方も多く、0円となるケースも珍しくありません。
本記事ではマイホームを買ったときの税金の計算の仕方についてお話します。
不動産取得税とは
敷地や家屋を買った人に義務が生じる地方税です。
新築住宅を建築したときや、売買、交換、または贈与によって不動産を買ったときが課税対象となり、相続による取得は対象外です。
対象物件の所有権を買ったあと、およそ5〜6ヶ月後に通知書が届きます。
購入から数ヶ月経過後してからの支払いとなりますので、忘れないように注意しなければなりません。
減税制度は複雑な数式を用いるので算出は少し難しいかもしれません。
ですがラインをクリアすれば大幅に減税されますので内容を理解しておくよう気を付けましょう。
税率は何%?
本則の税率だと4%と定められています。
ただし敷地と住宅用家屋については特別に減税制度の税率が設定されており、2024年3月31日以前に買ったものは3%の税率になります。
一般的なマイホームの購入であれば「敷地も家屋も3%」と覚えておきましょう。
税額の計算方法
原則として『評価額×税率』の式で計算されます。
たとえば評価額が敷地・家屋あわせて20,000,000円だったとき本則通りに計算すると20,000,000円×3%で600,000円になります。
ただしこの計算は減税制度をまったく考慮しなかったときの税額です。
実際には敷地・家屋それぞれに設定されている減税制度の税率が反映されることで税額がもっと安くなります。
敷地と建物の評価はどこでわかる?
家を買ったときの税金の計算では固定資産税の評価額を用います。
評価額は1年に1回、市町村ごとで発表されるのが一般的です。
市町村が発行する「評価証明書(または公課証明書)」を交付してもらえば物件の評価額が正しく分かります。
上記の書類は物件の所有者なら役場の窓口で交付してもらうことができますが、原則として権利者本人から申請しなければなりません。
まだ物件の所有権が移転されていなければ交付申請ができませんので、購入予定の物件の評価が知りたいときは不動産会社に評価について聞いてみましょう。
不動産取得税の軽減制度
現行の税システムは国民がマイホームを購入しやすくするための施策がとられており、その中で減税制度が時限的に実施されています。
減税制度は家屋と敷地それぞれに式が設定されていますので、順を追って説明します。
建造物の軽減制度
家屋部分については評価額から一定の額から差し引きされる形で減税されます。
マイホームが新築なら課税標準額から12,000,000円の差引があります。
家屋の評価額が13,000,000円のケースであれば「(1,300万円−1,200万円)×3%」という計算により税額は30,000円ということになります。
なお、評価額は実勢価格(売買価格)のおおよそ0.6~0.7倍前後となることが多いです。
新築本体価格が20,000,000円くらいまでであれば、12,000,000円控除枠に収まる可能性が十分あるということになります。
長期優良住宅の場合
買った家屋が長期優良住宅に認定されている場合は、控除額が13,000,000円となります。
【敷地の軽減制度①】評価額からの差引
敷地を買ったときの減税制度は、「①評価額の差引」「②税額の差引」の2段階になっています。
まず上記の①についてですが、マイホームの敷地なら評価額が半分に差し引かれます。
たとえば購入する敷地の評価額が10,000,000円であれば、「(1,000万円×1/2)×3%」の算出によって税額を300,000円から150,000円とすることができます。
【敷地の軽減制度②】税額の差引
①で算出した税額よりも更に差し引かれます。
次の[イ][ロ]の両方の金額を確認し、どちらか高い方を税額から引いた金額が最終的な税額となります。
[イ]45,000円
[ロ](敷地1㎡あたりの評価額 × 0.5)× 家屋の床面積の2倍(※最大200㎡)×3%
さきほどの①で出した敷地が、評価額の1㎡の単価が100,000円、床面積が80㎡だったとき、イとロの額はそれぞれ次のとおりになります。
[イ]45,000円
[ロ]240,000円
イとロのうち大きい方を差し引くことができますので、「15万円−25万円」となりこのケースでは敷地の税額は0円になりました。
<h2>算出方法のおさらい</h2>
ここまでの算出方法を事例に基づいておさらいしましょう。
40,000,000円で買った敷地・家屋の評価額が「敷地1,000万円・家屋1,000万円(計2,000万円)」で、敷地1㎡あたりの評価額は100,000円、家屋床面積は80㎡だったと仮定します。
家屋の評価額10,000,000円から12,000,000円を差し引くとマイナスとなり税金は発生しません。
また、敷地についても本則通り算出すると「(1,000万円×1/2)×3%=15万円」となってしまいますが、減税制度[ロ]を算出すると控除額が250,000円ですので税金は発生しないという結果でした。
このように減税制度があるおかげで税額が高額になることはなく、一般的な規模のマイホームでしたら0円になることもあります。
軽減制度を受けられるライン
減税制度を受けるためには、買った不動産が一定のラインをクリアしている必要があります。
減税される基準は家屋が新築か中古かによっても若干内容が異なりますので、細かく理解しておくようにしましょう。
家屋のライン
家屋のラインは以下のとおりです。
- 家屋が新築住宅の場合
・居住用するための家屋であること(セカンドハウスや賃貸住宅もOK)
・床面積50㎡~240㎡
- 家屋が中古住宅の場合
・自己居住用の家屋(賃貸住宅はNG)
・床面積が50㎡~240㎡
・次のいずれかに該当すること
- 昭和57年1月1日に建築されたもの
- 新耐震基準適合証明済み、もしくは既存住宅売買瑕疵保険に加入済みの家屋
- 新耐震基準適合の改修を実施する予定の家屋
敷地のライン
敷地のラインは以下のとおりです。
- 家屋が新築住宅の場合
・家屋が軽減の要件を満たしていること
- 家屋が中古住宅の場合
・家屋が軽減の要件を満たしていること
- 敷地先行購入の場合
・新築住宅を建築するときは、敷地購入から3年以内に建築すること
・中古住宅を建て替えるときは、敷地購入から1年以内に建築すること
- 家屋先行購入の場合
・地権者から敷地を借りて家屋を買った家主が1年以内にその敷地も購入できれば軽減可能
軽減されていない税額で通知書が届いたら
評価は原則として市役所の職員が行っているため、竣工から評価までの期間にタイムラグが起こり、誤って減税制度が適用されていない通知書が発行されてしまうことがあります。
上記のラインをクリアしている住宅にも関わらず高いままの税額になっている場合は、所轄の税事務所に問い合わせましょう。
まとめ
不動産取得税は敷地・家屋を買ったときに課税される税金です。
納税通知書が届くまで税額がわからないので、マイホームを買った人にとっては不安材料の一つになりがちです。
しかし本記事でお話ししたように、マイホーム用の敷地・家屋については大幅に減税されるというのが今の税システムです。
一般的な規模のマイホームなら「思っているよりも税金が安かった」「税額がゼロになった」というケースも多いので、ぜひ自分でも算出してみてください。